○気仙沼・本吉地域広域行政事務組合民間による患者等搬送事業に対する指導及び認定に関する要綱
平成28年9月27日
告示第9号
第1章 総則
(目的)
第1条 この要綱は,気仙沼・本吉地域広域行政事務組合消防本部(以下「消防本部」という。)が管轄する区域内の民間による患者等の搬送事業者に対し必要な指導を行うとともに,一定の基準に適合する患者等の搬送事業者の認定を行うことにより,患者等の生命及び身体の安全を図ることを目的とする。
(1) 患者等 健常者以外の者並びに車椅子及びストレッチャーを必要とする身体障害者及び寝たきりの者をいう。
(2) 患者等搬送用自動車 ストレッチャー及び車椅子を固定できる専用自動車をいう。
(3) 患者等搬送用自動車(車椅子専用) 車椅子のみを固定できる専用自動車(以下「車椅子専用車」という。)をいう。
(4) 患者等搬送事業 患者等の医療機関への入退院,通院及び転院並びに社会福祉施設等への送迎に際し,患者等搬送用自動車又は車椅子専用車を使用し,患者等を搬送する事業をいう。
(5) 患者等搬送事業者 患者等搬送事業を行う事業所の経営者又は管理責任者をいう。
(6) 認定事業者 第4章による認定を受けた患者等搬送事業者をいう。
(7) 乗務員 患者等搬送用自動車又は車椅子専用車に乗務し,当該業務に従事する者をいう。
第2章 指導基準
(指導)
第3条 消防長は,管轄区域内の患者等搬送事業者に対し,指導基準に基づき必要な指導を行うものとする。
(基本原則)
第4条 患者等搬送業務の基本原則は,次の各号のとおりとする。
(1) 生命に危険があり,又は症状が悪化すると認められ,緊急に医療機関その他の場所に搬送しなければならない患者等は,搬送の対象としないこと。
(2) 患者等搬送事業者は乗務員に対し,患者等からの通報の適正処理及び患者等の安全搬送に関する知識及び技能の向上に努めさせること。
(3) 患者等搬送事業者は乗務員に対し,2年に1回以上,再講習を受けさせること。
(4) 患者等搬送事業所,患者等搬送用自動車,車椅子専用車,パンフレット及びその他これに類するものに緊急の業務を行っていると,住民に誤解を与えるような表示はしないこと。
(5) 患者等搬送事業者は,事業の社会的責任を十分理解し関係法規を遵守すること。
(6) 患者等搬送用自動車には,サイレン又は赤色灯を装備するなど,救急自動車と紛らわしい外観としないこと。
(応急手当)
第5条 患者等の搬送業務は,症状の悪化防止に万全の配慮をし,搬送途上において症状が悪化し緊急やむをえない場合は,必要な応急手当を実施すること。
(消防機関との連携)
第6条 患者等搬送事業者は,次の各号のいずれかに該当する場合は,119番通報等により患者等の居る場所,状態,既往症,掛かり付け医療機関等を消防機関へ通報し,救急自動車を要請すること。
(1) 患者等の搬送依頼時の依頼内容,又は症状の聴取結果から緊急に医療機関へ搬送することが必要であると判断した場合。なお,この場合は,併せて乗務員を搬送依頼場所へ出向させること。
(2) 患者等の搬送依頼があった場所に到着後,症状等から緊急に医療機関へ搬送する必要があると判断した場合
(3) 患者等の搬送途上において,症状が悪化し,緊急に医療機関へ搬送することが必要であると判断した場合
(乗務員の要件)
第7条 乗務員は,満18歳以上の者で,次の各号のいずれかに該当する者とする。
(2) 次のいずれかに該当する者で適任証の交付を受けた者(以下「特例認定者」という。)
ア 救急救命士の資格を有する者及び消防法施行規則第51条に定める救急業務に関する講習課程を修了した者
イ 日本赤十字社の行う応急処置に関する講習を受けた者で,資格の有効期間内の者。ただし,消防機関の行う適任者講習に不足する課目については,消防機関の行う講習を受講すること。
(適任証の携帯)
第8条 乗務員は,適任証を携帯し搬送業務を行うこと。
(乗務の体制)
第9条 患者等搬送事業者は,患者等搬送用自動車1台につき2人以上の乗務員をもって業務を行わせること。ただし,次に掲げる場合は,乗務員を1人とすることができる。
(1) 乗務員以外に医師,看護師又は救急救命士が同乗する場合
(2) 退院の場合
(3) 医師の指示によりあらかじめ決められている通院で,かつ緊急に搬送する必要がない場合
(4) 老人福祉施設等への送迎の場合
(5) 単なる移動を目的とした場合
2 車椅子専用車にあっては,1台につき1人以上の乗務員をもって業務を行わせること。ただし,搬送中に容態急変の可能性が高い場合等については,医師又は看護師等を同乗させる,若しくは乗務員を2名以上とする等の容態急変への対応に必要な体制を確保すること。
(患者等搬送用自動車及び車椅子専用車の要件)
第10条 患者等搬送用自動車及び車椅子専用車は,次の各号に掲げる構造及び設備を有するものとする。
(1) 十分な緩衝装置を有すること。
(2) 換気及び冷暖房の装置を有すること。
(3) 患者等を収容する部分は,ストレッチャー又は車椅子を収容し,かつ乗務員が業務を実施するために必要なスペースを有すること。
(4) ストレッチャー及び車椅子等は,使用したまま確実に固定できる構造であること。
(5) 車椅子専用車にあっては,車椅子の乗降を容易にするための装置を有するものであること。
(6) 患者等を収容する部分には,患者転落防止等の安全対策が講じられていること。
(7) 自動車電話等の緊急連絡に必要な機器を設置すること。
(8) 患者等搬送用自動車又は車椅子専用車の車体には,患者等搬送用自動車である旨の表示を別記1により行うこと。
(9) 患者等搬送用自動車又は車椅子専用車には,応急手当を実施するための資器材を別記2により備えること。
(消毒等)
第11条 患者等搬送用自動車及び車椅子専用車並びに積載資器材の消毒等は,次の各号により行うこと。
(1) 定期消毒にあっては毎月1回以上,使用後消毒にあっては毎使用後の都度行うこと。
(2) 医師から消毒について特別な指示があった場合は,その指示に基づいた消毒を行うこと。
(3) 定期消毒を実施した場合は,その旨を消毒実施記録表(様式第3号)に記入し,患者等搬送用自動車又は車椅子専用車内の見やすい場所に表示すること。
(衛生・安全管理)
第12条 衛生・安全管理については,次の各号により行うこと。
(1) 乗務員は,身体の清潔保持に努めること。
(2) 患者等搬送用自動車及び車椅子専用車並びに積載資器材等は,点検整備を確実に行うこと。
(3) 患者の搬送に当たっては,患者等及び同乗者に対し安全ベルトを装着させる等,安全搬送のための措置を講ずること。
(服装)
第13条 乗務員の服装は,患者等搬送業務にふさわしい服装とし,常に清潔保持に努めること。
第3章 乗務員講習
(講習)
第14条 消防長は,乗務員に対し,搬送業務に必要な知識及び技術を習得させるため,適任者講習及び再講習を別記3により実施するものとする。
(講習に関する事務手続き)
第15条 講習に関する事務処理,適任証の交付,又は再交付並びに特例認定者への適任証の交付手続きは,別記4によるものとする。
(講習の委託)
第16条 第14条の講習の全部又は一部を他の団体に委託することができるものとする。
第4章 認定基準
(認定)
第17条 消防長は,別記5に掲げる認定基準に適合する患者等搬送事業者に対し,別記6に掲げる遵守義務を履行することを条件に,患者等搬送に適合する事業者として認定するものとする。
2 消防長は,患者等搬送事業を認定したときは,認定事業者台帳(様式第16号)を作成するものとする。
2 消防長は,審査の結果認定しない場合は,認定審査結果通知書(様式第19号)により,患者等搬送事業者に通知するものとする。
(認定証の有効期間)
第21条 認定証の有効期間は,認定を受けた日から起算して5年とする。
(認定証等の更新)
第22条 認定証等の更新を受けようとするものは,消防長に更新申請をするものとし,手続きについては,認定申請の手続きを準用する。
(認定証等の再交付)
第23条 認定証等を亡失し,滅失し,汚損し,又は破損したときは,患者等搬送事業認定証等再交付申請書(様式第20号)により,申請し再交付を受けることができる。
2 消防長は,前項の申請があった場合は,申請書の内容を審査の上,認定証等を申請のあった認定事業者に交付するものとする。
(事業内容変更・事業休止等)
第24条 認定事業者は,事業内容の変更,又は事業の全部若しくは一部を休止し,又は廃止したときは,患者等搬送事業変更・休止・廃止届出書(様式第21号)を消防長に提出すること。
(認定証の取消等)
第25条 消防長は,次の各号のいずれかに該当するときは,認定を取り消すことができる。
(1) 認定基準に適合しなくなったとき。
(2) 指導基準を遵守しないとき。
(3) 患者等搬送事業実施中,重大な事故を発生させたとき。
(4) 社会通念上,認定事業者としてふさわしくない行為又は事故を発生させたとき。
(認定証等の返納等)
第26条 認定事業者は,次の各号のいずれかに該当するときは,遅滞なく認定証等を返納しなければならない。
(1) 道路運送法に基づく許可,登録が取り消され,又は失効したとき。
(2) 認定事業者として認定を取り消されたとき。
(3) 認定の更新手続きをせず,認定の有効期限が満了したとき。
(4) 認定証の再交付を受けた場合に,亡失した認定証を発見し,又は回復したとき。
3 消防長は,認定証等を返納させたときは,患者等搬送用自動車又は車椅子専用車等に記載されている「気仙沼・本吉地域広域行政事務組合消防本部認定」の表示を削除させるものとする。
(認定事業者への指導)
第27条 消防長は,認定事業者に対し,認定基準及び遵守基準に基づく内容の履行状況を定期的に調査するものとする。
2 消防長は,前項の調査結果から,不適事項が認められたときは,認定基準に適合し遵守義務を履行するよう指導するものとする。
(情報の提供)
第28条 認定事業者は患者等搬送中に,別記6の11に定める事案を取扱った場合は,消防本部に情報の提供を行うものとする。
第29条 この要綱に定めるもののほか患者等搬送事業に関し必要な事項は,別に定めるものとする。
附則
この告示は,平成29年1月1日から施行する。
附則(令和3年2月3日告示第3号)
この告示は,公布の日から施行する。
別記1(第10条関係)
患者等搬送用自動車又は車椅子専用車の表示方法
1 患者等搬送用自動車認定マークは,自動車後面の見やすい位置とする。
2 「気仙沼・本吉地域広域行政事務組合消防本部」の表示は任意とし,表示する場合の文字の大きさは,縦横5cm以下とする。
3 国土交通省で定めた表示をする。
別記2(第10条関係)
積載資器材
分類 | 品名 |
呼吸循環管理用資器材 | ※バックバルブマスク ポケットマスク |
創傷等保護用資器材 | 三角巾 包帯 ガーゼ 絆創膏 タオル |
保温・搬送用資器材 | 担架 ※枕 ※敷物 保温用毛布 |
消毒用資器材 | 噴霧消毒器 各種消毒器 |
その他の資器材 | はさみ ※ピンセット 手袋 マスク 膿盆 汚物入れ 手洗い器 体温計等 |
注: ※は,車椅子専用車にあっては,任意の積載とする。
別記3(第14条関係)
乗務員講習の実施基準等
1 適任者講習
課目 | 時間数 |
総論 | 1 (1) |
観察要領及び応急措置 (一定頻度者が受講する講習と同等の内容を含む) | 13 (9) |
体位管理要領 | 2 (1) |
消防機関との連携要領 | 2 (2) |
車両,積載資器材の消毒及び感染防止要領 | 2 (1) |
搬送法 | 2 (1) |
修了考査 | 2 (1) |
合計 | 24 (16) |
注1: ( )は,車椅子専用車の適任者講習時間数
注2: 課目の1時間は,45分とする。
2 修了考査実施基準
修了考査は次の内容とし,80点以上をもって合格とする。
区分 | 課目 | 配点 |
実技 | 観察要領及び応急措置 | 60点 |
筆記 | 消防機関との連携要領 | 20点 |
車両,積載資器材の消毒及び感染防止要領 | 20点 | |
合計 | 100点 |
3 再講習
課目 | 時間数 |
観察要領及び応急措置 | 2 |
体位管理要領 | 1 |
合計 | 3 |
別記4(第15条関係)
乗務員講習等事務手続き要領
1 適任者講習
2 再講習
3 特例認定者への適任証の交付
4 適任証の再交付
別記5(第17条関係)
認定基準
1 道路運送法(昭和26年法律第183号)に基づく許可又は登録のいずれかを受けた事業所であること。
(1) 一般乗用旅客自動車運送事業の許可
(2) 一般貸切旅客自動車運送事業の許可
(3) 特定旅客自動車運送事業の許可
(4) 自家用有償旅客運送の登録
3 患者等搬送用自動車又は車椅子専用車は,次に掲げる構造及び設備を有するものとする。
(1) 十分な緩衝装置を有していること。
(2) 換気及び冷暖房の装置を有していること。
(3) 患者等を収容する部分は,ストレッチャー又は車椅子を収容し,かつ乗務員が業務を実施するために必要なスペースを有していること。
(4) ストレッチャー及び車椅子等は,確実に固定できる構造とされていること。
(5) 車椅子専用車にあっては,車椅子の乗降を容易にするための装置を有するものであること。
(6) 患者等を収容する部分には,患者転落防止等の安全対策が講じられていること。
(7) 自動車電話等の緊急連絡に必要な機器が設置されていること。
4 患者等搬送用自動車又は車椅子専用車には,サイレン又は赤色灯の装備がされていないこと。
5 患者等搬送用自動車又は車椅子専用車の車体には,患者等搬送用自動車である旨の表示がされていること。
6 患者等搬送用自動車又は車椅子専用車には,応急手当を実施するための資器材が備えられていること。
7 消毒実施記録表が,患者等搬送用自動車又は車椅子専用車の車内の見やすい場所に表示されていること。
8 乗務員は,患者等搬送業務にふさわしい服装とし,清潔さが保たれていること。
別記6(第17条,第28条関係)
遵守義務
1 生命に危険があり,又は症状が悪化すると認められ,緊急に医療機関その他の場所に搬送しなければならない患者等は,搬送の対象としないこと。
2 患者等の搬送業務は,症状の悪化防止に万全の配慮をし,搬送途上において症状が悪化し緊急やむを得ない場合は,必要な応急手当を実施すること。
3 次のいずれかに該当した場合は,患者等の居る場所,状態,既往症,掛かり付け医療機関等を119番通報等により消防機関へ通報し,救急自動車を要請すること。
(1) 患者等の搬送依頼時の依頼内容,又は症状の聴取結果から緊急に医療機関へ搬送することが必要であると判断した場合。なお,この場合は,併せて乗務員を搬送依頼場所へ出向させること。
(2) 患者等の搬送依頼があった場所に到着後,症状等から緊急に医療機関へ搬送する必 要があると判断した場合
(3) 患者等の搬送途上において,症状が悪化し,緊急に医療機関へ搬送することが必要 であると判断した場合
4 患者等搬送事業者は,患者等搬送用自動車1台につき2人以上,車椅子専用車1台につき1人以上の乗務体制がとられていること。
5 乗務員は,適任証を携帯し搬送業務を行うこと。
6 患者等搬送用自動車又は車椅子専用車及び積載資器材等は,点検整備を確実に行い,清潔を保つこと。
7 患者の搬送にあたっては,患者等及び同乗者に対し安全ベルトを装着させる等,安全搬送のための措置を講ずること。
8 乗務員に対し,患者等からの通報の適正処理及び患者等の安全搬送に関する知識及び技能の向上に努めさせること。
9 乗務員に対し,2年に1回以上,再講習を受けさせること。
10 患者等搬送用自動車及び車椅子専用車並びに資器材の消毒は,定期消毒にあっては毎月1回以上,使用後消毒にあっては毎使用後の都度行うこと。ただし,医師から消毒について特別な指示があった場合は,その指示に基づいた消毒を行うこと。
11 Ⅰ類~Ⅲ類感染症,新感染症,エイズ,B型肝炎,C型肝炎及びエボラ出血熱患者等の社会的に強い影響を及ぼす感染症患者を扱った場合(事後に判明した場合を含む)は,消防本部に情報提供すること。
12 患者等搬送事業認定申請書の内容に変更が生じた場合は,速やかに届け出ること。
13 認定証等を亡失,滅失,汚損,破損した場合は,速やかに届け出ること。
別図1(第20条関係)
患者等搬送事業者認定マーク
○ 地・・・緑色,文字・・・黒色,マーク・・・金色
○ 横23.7cm,縦36.0c
別図2(第20条関係)
患者等搬送事業者認定マーク(車椅子専用)
○ 地・・・ピンク色,文字・・・黒色,マーク・・・金色
○ 横23.7cm,縦36.0cm
別図3(第20条関係)
患者等搬送用自動車認定マーク
○ 直径・・・9cm
○ 地・・・緑色 文字及びマーク・・・黒色
別図4(第20条関係)
患者等搬送用自動車認定マーク(車椅子専用)
○ 直径・・・9cm
○ 地・・・ピンク色 文字及びマーク・・・黒色